キコの台所

パンと粉もの 料理教室

基本の丸パン 夏の時期対応編

2020年4月のブログの内容と同じですが、
夏のパン作りについて少し書き直しました。

手捏ねをする場合、
・水温
・粉の温度
・室温
・手の温度
が、とても重要になってきます。

手が温かい、冷たいは変えられないので、
水、粉、室温を調整します。

⚫︎水の温度
前日からしっかりと冷蔵庫で冷やした水を
準備しておきます。
氷を沢山入れて、急冷すれば、5℃くらいの
水はすぐに作る事ができますが、
しっかりと一晩かけて冷やした水のほうが
室温、手の温度、摩擦での上昇がゆっくりに
なります。
準備したけれど、当日意外と涼しいとなれば、
常温の水とブレンドすれば良いわけですし、
まずは、200gくらい容器に入れて冷やして
おきます。

⚫︎粉の温度
粉の温度=室温です。
前日がとても暑い日ですと、粉もけっこう
温まっています。
なるべく涼しいところ、クーラーの効いている
部屋などにおいておくと、いいです。
手の温度が高い方で、どうしても捏上温度が
32、33℃になってしまうという方は、
粉を一晩冷蔵するというのもアリですが。
冷えた小麦粉はグルテンの繋がりが悪くなり
がちなので、捏ねる力に自信がある方だけに
オススメします。

⚫︎室温
23〜26℃くらいの室温になるように
クーラーなどで調整したほうがいいです。
クーラーなどは使わない主義という方も、
捏ねる1時間くらい前から、捏ね終わるまでは
付けたほうが、捏上温度が上がり過ぎず、
良い生地が出来上がります。

基本の丸パン

《材料》
☆100%=300g
強力粉(春よ恋) 300g(100%)
イースト(サフ金) 5.1g(1.7%)
砂糖 21g(7%)
塩 5.4g(1.8%)
水 195g(65%)
バター 9g(3%)

《パン生地データ》
捏上温度 28℃
一次発酵 45分(28℃のところ)
分割 9個
ベンチタイム 10分(乾燥しない場所で)
成形
仕上発酵 35分(32℃のところ)
焼成 210℃ (13分)

※捏上温度が高かった場合は、
全ての行程の見極めを5〜10分早くして
様子を見てあげたほうが良いです。

《作り方》
ボウルに砂糖、塩、水の全量を入れ、
カードでよく溶く。

粉全量を入れる。
カードを大きく動かしながら、
粉に水を吸わせていく。

台に取り出す。
水でビショビショのところがあって、
粉っぽいところがある。ではなく、
このように、どの部分も同じような
状態が理想。

イーストをふりかける。
1ヶ所にざーっとではなく、
全体的に薄く広がるように。

パラパラしている全体を押し集めて
一塊にする。

5分間、ひたすら捏ねる。
捏ね始めはベトベトするものです。
気にせずひたすら捏ねて、
とにかく材料を均一に分散させる時間です。

捏ねた生地にボウルを被せて、
その横で、手に付いた生地を取る。
乾かないうちに、本体にくっつける。

この2〜3分の間に、生地が休まって
この後捏ねやすくなる効果もあります。

10分くらい捏ねる。
本当は時間で決めずに状態で見極めるのが
理想ですが、どのくらい捏ねたら良いのか
分からない場合は、10分くらい。

捏ねていくうちにグルテンが繋がってきます。
柔らかさが出てくると、伸びも良くなり、
大きな円を描いて捏ねていける状態に
なります。

10分くらい捏ねると、表面がつるっとする。
グルテンができると、滑らかな表面に
なります。

バターを練り込む。
今回の配合はバターが少ないので、
1回で入れて大丈夫です。

多い場合は、2〜4回に分けて入れていくか、
カードで刻んで入れ込んでいきます。

バターが入りきったら、
生地の中心に温度計を差し込み、
生地温度を測る。

きれいに丸める。
張らせるのが難しい場合は、
両手をV字にして、パン生地の底部分を
窄めるとできます。
違う方向から4回やると、張りもあって、
まん丸にする事ができるはずです。

ボウルに入れて一次発酵へ。
ラップをして乾燥防止。

捏ね上がりの温度が28℃の場合は、
データ通り進めます。
28℃のところで、45〜50分。

26〜27℃くらいなら、
それほど心配する事なく、
データ通りに進めて大丈夫です。

32℃、33℃の捏上温度になってしまった
場合は、とても涼しい部屋を探して
発酵を取ります。

捏上温度が高いと、イーストがものすごく
働きます。なので、どんどん大きく膨らむ
ようになってしまう可能性があります。

良い状態で捏ね上がった生地。
グルテンがしっかりと繋がっています。
その中でイーストが働いて、少しずつ
グルテンを引き伸ばしていきます。

45分くらいかけてゆっくりと引き伸ばすのと、
急劇に伸ばされてしまうのでは、
生地の状況が変わってきます。

ゆっくり引き伸ばす場合は、
グルテンを程よく強くしていく事ができます。
そして、その網目構造の中にガスを溜めて
いく事ができます。

逆に急激だと、グルテンが強くなる暇が
ないまま、ガスが溜まっていきます。
そうすると、ガスを溜めきれなくなります。
弱い生地が出来上がってしまいます。

そして、分割見極め。

粉を付けた指で優しく触ります。
ぱーんと張りがあるなら、5分くらい
プラスして待ちます。

3㎜くらい凹んで、
ゆーっくり戻ってくる、くらいが分割の時。

台に出して分割。

その前に、生地と台に打ち粉を。

薄い打ち粉(理想!)

ぼてぼてと多過ぎ!!!

ボウルごと、スケールに乗せて、
「ゼロ」合わせ。

生地を台へ出す。
スケールはいじらずに、
空のボウルをスケールに戻す。

「(マイナス)数字」の数字が、生地の重さ。
この生地は、535gです。

台に出す時は、変な形にせず、
なるべく、まん丸に出します。

手に薄〜く粉を付けて、
生地全体を押して、1.5㎝くらいの厚みに
整えます。

ゴロンと丸いまま分割してしまうと、
断面の面積が多くなり、丸めにくいです。


今回は分割が9個なので、
正方形に近い丸にすると、
見た目での分割の判断がしやすいです。

12個にしたい場合は、
3:4の長方形ぎみに広げたりします。

535÷9=59.4
1個 59〜60gに調整します。

家庭用なので、だいたいでもOKです!

丸めてベンチタイムの準備をします。

下側がパンのオモテになる面。

切り口を上に一周軽く折り込む。
裏返して、手の平で押さえてガス抜き。

いきなり押さえると、
切り口がオモテ側にいってしまう事も
多いので、ここでひと手間。

ベンチタイム前の丸めは、
成形へのプロセスが始まっています。


半分に折る。
淵を上に向けて、更に半分に折る。

一次発酵の前と同様に、
手をV字にして8方向から、底部分を窄める。
底はキュッとつまんだりしなくて良い。

並べてベンチタイムへ。

成形へ。
まずは手の平でガス抜き。

半分に折る。
淵を上に向けて、更に半分に折る。

一次発酵の前と同様に、
手をV字にして8方向から、底部分を窄める。

成形の時は、底部分をキュッと閉じる。

天板にオーブンペーパーを敷く。
均等な間隔で並べる。

本来は焼成直前にクープを入れますが、
タイミングを外すと、萎んでしまうので、
ここで入れておくと安心。

慣れてきたら、焼成直前に入れてみて
下さい。

仕上発酵後。

210℃に予熱しておいたオーブンで13分焼成。